ご挨拶


 東日本大震災から2年半が経ち、被災地から離れた東京ではすっかり日常を取り戻していますが、被災地では復興に向けた様々な取組みがまだまだ続いています。

  東日本大震災のあとの調査で、昔の人々が災害の犠牲者の供養のために作った石碑や神社には、地震や津波の怖さを後世に伝え、子孫が再び悲劇に合わない様にとの願いも込められていたことが注目を集めました。その教えを代々伝え、今の暮らしに活かしていたことで大きな被害を免れた集落も少なからずあったと聞きます。

 ご存知の通り、江戸・東京も数々の大災害に見舞われてきました。そして、江戸っ子も東北の人々と同じように、犠牲となった人々の供養のために、そして後世の子孫のために、その惨禍を記録した慰霊碑や石碑を残してくれています。
  しかしながら、そのメッセージをしっかりと今の私たちが受け止めているか、というと甚だ疑問です。昭和の急激な経済発展と平成の都市再開発で昔からの地元のコミュニティも弱くなってしまい、その由来を伝えるのは区役所の案内板だけ。しかも、その案内板でさえ、見過ごされてしまっているというのが現実かもしれません。

 東日本大震災の記憶も昔のことと思ってしまうような今こそ、そんな震災遺蹟に目を向けて、自分が立っているこの場所でその昔にどんなことが起こったのかを思い巡らすべきではないか。それが今を生きる私たち自身を守ることにつながり、惨禍から生き残った人たちの願いを受け止めることになる。そのためのシティロゲインをいつか企画したいと思っていました。しかし、ちょっと遠いなあと先延ばしにしていました。

 そんなときに、世田谷シティロゲインの常連参加者の女性から「TOMOSU RUN」のことをお聞きしました。「1.17希望の灯(あか)り」という阪神大震災の犠牲者の慰霊と復興を願った神戸市中央区の公園「東遊園地」で燈されているガス灯の火が、岩手県陸前高田市と福島県南相馬市に分灯されています。その灯りに込められた”希望”や”想い”を東北三県に広め、繋げたい... 共に未来へ進もうという誓いを込めたランニングイベントが「TOMOSU RUN」なのです。まさしく、ご先祖様が今の私たちのために残してくれたことを、今度は私たちが私たちの子孫のために伝えてあげる企画だと思いました。今年は11月3日に第2回目が開催されます。

 そこで、「TOMOSU RUN」のPRも兼ねたコラボレーション企画として、準備期間は少ないですが、ぜひとも関東大震災90周年の日の直後に開催したいと思い、急遽ご案内しました。 テーマはちょっと重いですが、お楽しみのグルメポイントも下町の絶品をチョイスしていますので、のんびり東京再発見という気分でご参加いただければと思います。


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